弥生の岸田奈美〜唐突にはじまる大切なファンクラブ〜
1.はじめに
もう、いろいろある。本当に。大変なことが。国際情勢とかね。ここまでデッカイことが起きたら、さすがに思うことも悲しむこともあるから、なんか書いた方がいいかなあって、思うんやけども。
世界でどんなにデカいことが起きてたとしても、今日も目の前にあるちっちゃいことに対峙せねば、生きていけない人もおるやないですか。世界中が大変ななかで、口に出すのもはばかれるような、それでも切実な、ちっちゃいことと。
わたしがそうだから、いつも通り、ちっちゃくて、せせこましくて、どうしようもないことをね、ガツンと書いていこうと思いますわよ。
2.ファンクラブができました
唐突すぎて、ごめんなさい。
岸田奈美の公式ファンクラブ「岸田団」ができました。
教団ではないです。団です。布団をかぶりながら円になり団子を食らってる団体のイメージです。
いきなりどないした?
noteの有料定期購読は?
出身大学と高校は?
実家の床が抜けてるって本当?
などと思われるはずなので、説明させてください。
実家の床は抜けてます。
わたしならびに岸田家は、親戚中でも随一のマヌケファミリーとして名高いのですが、本当にありがたいことに、マヌケと引き換えに“助けられる才能”に恵まれて、この世に生を受けました。
さらに筆舌に尽くしがたいほどありがたいことに、ここにいる“助ける才能”のあるみなさんのおかげで、仲良く楽しく暮らせております。
本を買ってもらったり、月1000円の有料マガジンを購読してもらったり。
特に後者は、岸田家の収入の9割を占めております。ダイレクトに読者さんから生かされとる。命の綱を、綱引きみたいに脇に抱えてもらっとる。普通にリスクヘッジを考れば、ぶっちゃけメチャクチャ危ない状況なのに、2年間一度たりとも、綱が離されないので、生ける奇跡です。わたしは。そろそろサイゼリアの絵画で描かれるはず。
ところで。
不運と業(ごう)で窮地に陥っては、ケタケタ笑いながら這い上がってくるわたしを、応援してくださる方々から、こんな声をいただきまして。
「応援したいけど、月1,000円がちょっと高い」
「有料noteを読む時間や気力がなくて、もったいない」
いまから大切なことを言います。
わたしに構わず、先に行ってくれェ!!!!!
いいんだよ!大丈夫だよ!その気持ちだけでめちゃんこ嬉しいから!お金は正直ありがたいけど、お金だけじゃどうにもならねえことも多いのよ!結局は人に頼らんとアカンのよ!だから気持ちだけでいいの!ありがとう!そのお金は、自分や他の大切な人のために使って!牛丼に温玉つけて味噌汁を豚汁に変更して!
その上で、ですよ。
岸田家を応援したい、かかわりたい、と思ってくださる方に向けて。
はじまったのが「岸田団」です。
月額500円で、岸田家を応援できます。
その見返りに、なにがあるのかというと。
なんもありません。
あの、本当に、なんもないんです。差し出せるものが。その対価に見合うものが。武道館公演ファンクラブ先行チケット受付とかもないです。
敷いて言えば。
入会金が2000円かかっちゃうので、わたしがデザインしたトラの貯金箱がもらえます。
トラの貯金箱です。大きさは、ファービーと比較してください。右はガンダムです。
ぽってりとした横からのフォルムにこだわりました。
尻も情けなくてかわいいですね。
陶器でできているんですが、いにしえのブタの貯金箱みたいに、割らなくてもお金を取り出せます。肉球の芸が細かい。
これ、原価が2000円って聞いて爆笑しました。利益が0!!!!!!!
何度も言いますが、わたしがデザインしました。以下、制作担当者とのやりとりです。
「なんでこのトラ、泣いてるんですか?」
わたし「悲しいことがあったからです」
「なんで貯金箱にしたんですか?」
わたし「悲しいときに小銭を入れると、せめて貯金ができて将来的に美味しいものを食べられるじゃないですか」
「はい?」
わたし「転んでもタダでは起きないどころか、金を貯めて起きてほしいからです」
終始、制作担当者は首をかしげていました。
わたしはこのトラ、大好きなんですけど、ファンクラブの見返りとして価値があるのかはもう全然わかりません。
あと、月額500円払ってくださると、岸田奈美の裏つぶやき、みたいなものが読めるようになります。
裏つっても、noteにもTwitterにも出せないような、まだモニャモニャしてる寝言みたいななにかです。今日なにがあったとか、誰と会ったとか、どんな本を読んだとか。たまに母や弟も書きます。
ね、いらんでしょう?
いらんのよ。本当に。いらんと思ってたのよ。
だけど、ファンクラブを作ろう、と言ってくれたのはわたしのマネージャーである、武田真希さんです。
事務所って、なんかいっぱいマージンとっていきそうなイメージあるかもしんないけど、本当に、本当に良心的な契約をしてくださっています。むしろ、働きと気づかいに換算したら、わたしが払ってるマージンなどもはや赤字では、と思えてきます。
「大切なのは、岸田さんが売れ続けることより、岸田さんが創作を続けられることです」
と言って、さっぱり作品を書けなくなったわたしのことを、受け入れてくださった日のことは忘れません。
そんな武田さんがね、言うわけですよ。
「いつか、もし、なんらかの事情でひと文字もnoteが書けなくなったとしたら。岸田さんは有料定期マガジンの収入がなくなって、生活が苦しくなってしまいます」
「それはマジでそう」
「でもそんな時のために、岸田さんの人生そのものを応援してくれる濃いファンの人たちがいたら、少しは安心できますよね」
「そんな人たち、いる……?作家が書けなくなったらもう店じまいでは?」
「今はいなくても、探すために、作りましょう。ってか、もう企画作りました!ファンクラブ!」
という経緯なんです。早すぎる。なにが起きたかわからんかった。
自分のことにはめっぽう自信が持てないわたしですが、『宇宙兄弟』のセリフにしたがって、2人以上から同じことを褒められたら、それだけは信じることにしています。
武田さんの壮大なリスクヘッジと再生の物語を、信じることにしました。
そんなわけで、長くなりましたが、ファンクラブ『岸田団』ができたのです。エッセイも書かない、でもエッセイになりようもないわたしの本音を、生きているだけの姿を、おもしろがってくださる人は、どうぞこちらもよろしくお願いします。
「いや、有料購読マガジンの方がええわ」っていう人は、どうか!そのままで!お願いします!みんなの1000円で今日もご飯が美味しい!
お金の使いみちなんですけど、いまは、有料定期購読マガジンだけで、なんと生活できてるんですよ。いつ見ても夢かと思っちゃう。
だから、ファンクラブでいただいた500円は、当面の間は生活費ではなく「なんかみんなで楽しめる、くだらなくも愛しいこと」に使おうかと。
・毎週月曜の深夜にやる「岸田奈美のDMすべて読み上げるSpace配信」の企画運営費
・キナリ杯みたいな祭りっぽいなにか
・陸上寿司同好会のようななにか
・困ってる読者さんを助けるなにか
思いついたら、かたっぱしからやりますので、適当な感じでお待ちください。
生活に苦しくなったら、なりふりかまわずに米とか買います。
入会は、こちらから。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
3.2022年2月によく読まれた人気記事
↑2月はこの三連作に精神力と体力のすべてをそそぎこんだ、みたいな感じだったので、これが一番よく読まれてたことはとっても嬉しいです。介護については、できるだけ早く、楽しく知っといた方が良いね。
↑わたしこの一年、たぶんずっとこれで笑ってると思います。お気に入りのエピソード。
↑8月に書いた記事がなんとこの順位に浮上。落とし物したらフリマサイトで売りさばかれてた話なんだけど、そのあと捜査どうなりました?って警察に聞くのがなんか怖くて、聞けてない。来月あたり勇気が出たら聞く。
↑テイクアンドギヴ・ニーズさんでの結婚式エッセイ、4話目は伝説のウエディングプランナーさんの取材です。
月4本以上の限定エッセイが読める、有料定期購読マガジン「キナリマガジン」は月始めから登録すると、お得です。
4.出演・取材情報
3月27日、大阪でサイン会と講演があります。これは現地でも、オンラインでも参加できます。
あとは、2月に掲載された記事など。
5.ほかに連絡事項
11月に作成して、再販した同人誌の在庫がのこり30冊を切りました。どれだけ希望があっても、赤字になっちゃうから少なくとも2年くらいは刷り直さないので、お買い忘れの方はこの機会に。
お嬢様口調で自分の好きな本をすすめたり、すすめたりしてもらう、Twitterコミュニティを作りました。カオスです。